そしてあなたと風になる
クレセントシリーズのプロジョクトは順調に進んでいるようだった。
横浜でフレーム撮影をしたあの日から、まひるは"諏崎デザイン工房"に引きこもり、担当者である百花とやり取りをしていた。
佐々木コーポレーションの専務である千尋も、別件をいくつも抱えており、まひるに会えぬまま数週間が過ごしていた。
自分の時間が持てるようになり、まひるに連絡をとろうとしたのも束の間、別件でトラブルがおき、取引先と交渉するため、2週間のアメリカ出張となった。
千尋が日本に帰国した頃には、
クレセントシリーズのCM映像のほか、ウェブ用のショートフィルム、店頭用のポスターも完成していた。
「やっぱり、まひるさんに頼んで良かった!あの人天才だよ。」
興奮した百花が専務室に飛び込んできた。
「公開前のワールドプレミアでも注目を浴びたんだよ。発売前から問い合わせが鳴り止まないくらい。」
クレセントシリーズが先行広告で注目を浴びていることは、アメリカにいた千尋の耳にも入っていた。
メイクを通して子猫が大人の女性に成長する過程と、
月の持つ不思議なパワーを表現した彩り鮮やかな映像は、
リリース直後から、国内外で評価されていた。
映像で描かれている男性も、もちろんヒロインも、千尋とまひるとはわからないほどに2次元化されていた。
シルエットはそのままだったので、撮影した千尋とまひるにはわかる程度には残像を残していた。
思い出深いあの日の景色は、一部そのまま使用されている。
自分も撮影に協力した広告が、世間に評価されていること、
そして、顔にも言葉にも出さないが、
まひるの実力が世間に知れ渡るきっかけを自社が提供出来たことを、
千尋は自分のことのように喜んでいた。
「そういえば、諏崎デザイン工房は、今後、イギリスのデザイン会社と提携するんだって。」
「えっ?」
諏崎デザイン工房は、今後も今までのスタンスを保っていくと思っていた千尋は、突然の知らせに驚きを隠せない。
「晴斗から聞いたんだけど、まひるさん、今度お見合いするんだって。」
「はぁ?」
まひるがお見合い?
まひるは自分のものになったと勝手に思っていた千尋は、慌てて立ち上がった。
横浜でフレーム撮影をしたあの日から、まひるは"諏崎デザイン工房"に引きこもり、担当者である百花とやり取りをしていた。
佐々木コーポレーションの専務である千尋も、別件をいくつも抱えており、まひるに会えぬまま数週間が過ごしていた。
自分の時間が持てるようになり、まひるに連絡をとろうとしたのも束の間、別件でトラブルがおき、取引先と交渉するため、2週間のアメリカ出張となった。
千尋が日本に帰国した頃には、
クレセントシリーズのCM映像のほか、ウェブ用のショートフィルム、店頭用のポスターも完成していた。
「やっぱり、まひるさんに頼んで良かった!あの人天才だよ。」
興奮した百花が専務室に飛び込んできた。
「公開前のワールドプレミアでも注目を浴びたんだよ。発売前から問い合わせが鳴り止まないくらい。」
クレセントシリーズが先行広告で注目を浴びていることは、アメリカにいた千尋の耳にも入っていた。
メイクを通して子猫が大人の女性に成長する過程と、
月の持つ不思議なパワーを表現した彩り鮮やかな映像は、
リリース直後から、国内外で評価されていた。
映像で描かれている男性も、もちろんヒロインも、千尋とまひるとはわからないほどに2次元化されていた。
シルエットはそのままだったので、撮影した千尋とまひるにはわかる程度には残像を残していた。
思い出深いあの日の景色は、一部そのまま使用されている。
自分も撮影に協力した広告が、世間に評価されていること、
そして、顔にも言葉にも出さないが、
まひるの実力が世間に知れ渡るきっかけを自社が提供出来たことを、
千尋は自分のことのように喜んでいた。
「そういえば、諏崎デザイン工房は、今後、イギリスのデザイン会社と提携するんだって。」
「えっ?」
諏崎デザイン工房は、今後も今までのスタンスを保っていくと思っていた千尋は、突然の知らせに驚きを隠せない。
「晴斗から聞いたんだけど、まひるさん、今度お見合いするんだって。」
「はぁ?」
まひるがお見合い?
まひるは自分のものになったと勝手に思っていた千尋は、慌てて立ち上がった。