そしてあなたと風になる
百花の話を要約すると
まひるの叔父、すなわち、晴斗の父親である神田正晴氏の経営する会社が、大手取引先に契約解除された。
この状況を懸念した株主が、正晴の会社の株を次々に手放したことを皮切りに、他の大口契約も反故にされてしまい、窮地に立たされていると言うのだ。
そこで"諏崎デザイン工房"で経理を担当している救世主"晴斗"を会社に呼び戻すことになった。
「だからってイギリスのデザイン会社と提携することはないだろう。事実的な買収じゃないのか?」
珍しく千尋が声を荒げた。
「ちょっと、ちい兄ちゃんどうしたのよ。」
百花が目を丸くして言った。
「晴斗がいなくなったら、諏崎デザイン工房には経理がいなくなるでしょ?」
ほら、とタブレットを操作し
見知らぬ老人の写真が"教授"と書かれたプロフィールの上におかれている、イギリスの某大学のホームページを開いて見せた。
「まひるさんのおじいさんは日本人で、イギリスの大学で建築学を教えているんだって。神田社長から連絡を受けたまひるさんのお母さんが、おじいさんに相談して、前々から"諏崎デザイン工房"に提携を打診してきていたデザイン会社を紹介することになったらしいわよ。」
百花は続けて、Steven design cooperationという会社のホームページを立ち上げる。
「それだけじゃなくて」
ホームページには社長の写真が載っていた。
「まひるさん、このスティーブっていう社長とお見合いさせられるらしいわよ。」
まひるがイギリスの母親を訪ねていった際、祖父の家でまひるは何回かスティーブに会ったことがある。
まひるに一目惚れしたスティーブは、何度かまひるにプロポーズをしていたがすべて断られていたらしい。
今回の件で、経営面において脆弱化してしまう"諏崎デザイン工房"の状況をまひるの祖父が心配し同業者のスティーブに相談した。
スティーブはこの状況を利用して、神田建築とまひるに揺さぶりをかけてきた。
神田建築の新規契約を持ちかけ、諏崎デザイン工房には買収を匂わす。
まひるがスティーブと結婚すれば、諏崎デザイン工房とは業務提携という形をとるが、断れば、神田建築の支援もなし,,,。
「そんな話にまひるが乗ったのか!?」
「まひる呼び、って何様よ。」
百花は憤慨しながらも続けた。
「今回のプロジョクトも終了したし、明後日からまひるさん、イギリスに行くらしいよ。」
千尋は、我慢できずに立ち上がり、上着をとって専務室から駆け出した。
まひるの叔父、すなわち、晴斗の父親である神田正晴氏の経営する会社が、大手取引先に契約解除された。
この状況を懸念した株主が、正晴の会社の株を次々に手放したことを皮切りに、他の大口契約も反故にされてしまい、窮地に立たされていると言うのだ。
そこで"諏崎デザイン工房"で経理を担当している救世主"晴斗"を会社に呼び戻すことになった。
「だからってイギリスのデザイン会社と提携することはないだろう。事実的な買収じゃないのか?」
珍しく千尋が声を荒げた。
「ちょっと、ちい兄ちゃんどうしたのよ。」
百花が目を丸くして言った。
「晴斗がいなくなったら、諏崎デザイン工房には経理がいなくなるでしょ?」
ほら、とタブレットを操作し
見知らぬ老人の写真が"教授"と書かれたプロフィールの上におかれている、イギリスの某大学のホームページを開いて見せた。
「まひるさんのおじいさんは日本人で、イギリスの大学で建築学を教えているんだって。神田社長から連絡を受けたまひるさんのお母さんが、おじいさんに相談して、前々から"諏崎デザイン工房"に提携を打診してきていたデザイン会社を紹介することになったらしいわよ。」
百花は続けて、Steven design cooperationという会社のホームページを立ち上げる。
「それだけじゃなくて」
ホームページには社長の写真が載っていた。
「まひるさん、このスティーブっていう社長とお見合いさせられるらしいわよ。」
まひるがイギリスの母親を訪ねていった際、祖父の家でまひるは何回かスティーブに会ったことがある。
まひるに一目惚れしたスティーブは、何度かまひるにプロポーズをしていたがすべて断られていたらしい。
今回の件で、経営面において脆弱化してしまう"諏崎デザイン工房"の状況をまひるの祖父が心配し同業者のスティーブに相談した。
スティーブはこの状況を利用して、神田建築とまひるに揺さぶりをかけてきた。
神田建築の新規契約を持ちかけ、諏崎デザイン工房には買収を匂わす。
まひるがスティーブと結婚すれば、諏崎デザイン工房とは業務提携という形をとるが、断れば、神田建築の支援もなし,,,。
「そんな話にまひるが乗ったのか!?」
「まひる呼び、って何様よ。」
百花は憤慨しながらも続けた。
「今回のプロジョクトも終了したし、明後日からまひるさん、イギリスに行くらしいよ。」
千尋は、我慢できずに立ち上がり、上着をとって専務室から駆け出した。