そしてあなたと風になる
"眼鏡運転手"もとい"櫻木コーポレーションの専務秘書"は、橘三月と名乗った。
『あのときは慌ててたからゆっくり容姿を観察することもままならなかったな。』
背が高くて、ウェーブがかった柔らかそう
な栗色の髪。
優しい笑みを浮かべながらゆったりと話す文系のインテリ眼鏡。
漫画のヒーローでいうなら白王子枠か。
"眼鏡なし後部座席"の男性が
"櫻木コーポレーション専務"の櫻木千尋と名乗る。
これまたモデル並みのスタイルで、誰もがイケメン認定するであろうルックス。
なのに、
探るような鋭い目付きと、無口な態度の彼は黒王子枠だな。
『そういえば、そんな名前だった』
先日、晴斗から受け取った社内メールに書いてあった気がする。
+++++++
まひるは、二人からもらった名刺をまじまじと見つめ、
「重ね重ねお見苦しいところをお見せしまして,,,。」
と、再度お辞儀をした。
「大事な契約があるのに、ギリギリの出勤で自損事故とか,,,。こんな社長がいる会社じゃ信用できませんよね。」
「いえ、名刺をもらった時点で、諏崎さんが取引先の社長だと気づいていたのに名乗らなかったのですから、我々も同罪ですよ。」
「頭を上げてください」
と、橘が微笑みながら続けた。
まひるはゆっくりと体を起こす。
鋭い眼でまひるを凝視していた櫻木と目があった。
「てっきり,,,」
「ホームページや社報に記載されているお名前から、男性だと思い込んでしておりました。」
櫻木は、なおもまひるを見つめ続けている。
「ふふふ」
「ほんと、よく間違われるんですよ。素性はほとんど公開していませんし。」
「かくいう私も,,,ホントはお二人のこと、化粧品担当だから女性かと思ってました。お名前もミツキさんとチヒロさんですし。」
口に手をあてて、首をかしげ笑うまひるが
「お互いさま、ですね?」
と、何気なく櫻木に同意を求めた。
一瞬、目を見開いて、まひるから目を離せない櫻木は、驚いた様子で自分を見つめる橘に気づいて、そっと窓の外に顔を向けた。
『あのときは慌ててたからゆっくり容姿を観察することもままならなかったな。』
背が高くて、ウェーブがかった柔らかそう
な栗色の髪。
優しい笑みを浮かべながらゆったりと話す文系のインテリ眼鏡。
漫画のヒーローでいうなら白王子枠か。
"眼鏡なし後部座席"の男性が
"櫻木コーポレーション専務"の櫻木千尋と名乗る。
これまたモデル並みのスタイルで、誰もがイケメン認定するであろうルックス。
なのに、
探るような鋭い目付きと、無口な態度の彼は黒王子枠だな。
『そういえば、そんな名前だった』
先日、晴斗から受け取った社内メールに書いてあった気がする。
+++++++
まひるは、二人からもらった名刺をまじまじと見つめ、
「重ね重ねお見苦しいところをお見せしまして,,,。」
と、再度お辞儀をした。
「大事な契約があるのに、ギリギリの出勤で自損事故とか,,,。こんな社長がいる会社じゃ信用できませんよね。」
「いえ、名刺をもらった時点で、諏崎さんが取引先の社長だと気づいていたのに名乗らなかったのですから、我々も同罪ですよ。」
「頭を上げてください」
と、橘が微笑みながら続けた。
まひるはゆっくりと体を起こす。
鋭い眼でまひるを凝視していた櫻木と目があった。
「てっきり,,,」
「ホームページや社報に記載されているお名前から、男性だと思い込んでしておりました。」
櫻木は、なおもまひるを見つめ続けている。
「ふふふ」
「ほんと、よく間違われるんですよ。素性はほとんど公開していませんし。」
「かくいう私も,,,ホントはお二人のこと、化粧品担当だから女性かと思ってました。お名前もミツキさんとチヒロさんですし。」
口に手をあてて、首をかしげ笑うまひるが
「お互いさま、ですね?」
と、何気なく櫻木に同意を求めた。
一瞬、目を見開いて、まひるから目を離せない櫻木は、驚いた様子で自分を見つめる橘に気づいて、そっと窓の外に顔を向けた。