そしてあなたと風になる
コンコン。
「まひるさん、勝手にサインとかしてないでしょうね!」
"ノックは飾りですか,,,?"
と、その場にいた誰もが感じるほどに、晴斗は勢いよく社長室のドアを開けた。
++++++++++++
櫻木コーポレーションから諏崎デザイン工房へのアプローチは、同社、企画・宣伝部課長の"櫻木百花"から、晴斗への打診という形で開始された。
二人は、アメリカ留学時代の知人ということで、帰国後もプライベートで、SNSやメールのやりとりを続けていた。
"晴斗が諏崎デザイン工房の副社長に就任した"
と、聞いた百花が、同社のホームページを覗いて見たのがきっかけだ。
Web上で展開される~独自の世界観~
"諏崎デザイン工房"
そんな検索ワードを入力すると、一番最初に現れるホームページアドレスをクリック
~ようこそ、未来の僕ら~
葉っぱの形をしたキャラクターが、小さな手を差し出してにっこりと微笑んでいる。
キャラクターの手の横にある"click"を押すと、訪問者はおもむろに手を繋がれ、ぐんぐん風にのって、移り変わる絶景の中を旅している、と錯覚させる魔法に魅了される。
赤、青、緑、黄,,,。七色の特徴的な色をモチーフとしたそれぞれの景色は何処か懐かしい。
ネットサーファーが癒しの旅を終えた後に辿り着く先は、
"諏崎デザイン工房"
海を臨む丘に建つ小さな小屋の玄関だった。
誰もがずっと見ていたいと感じるショートムービー,,,。
握っていたマウスが、手から落ちて音を立てたのを合図に、百花は現実に引き戻された。
なぜか、自身が抱えている新規プロジェクトへの意欲をかきたてられた。
『この会社にデザインを依頼したい』
そうして迷うことなく晴斗に連絡。本日に至るというわけだ。
++++++++
「ももか,,,、いえ、頼んできた櫻木課長さんはどうして同席してないんですかね?」
晴斗は、
『どうぞ宜しく』
と言いながら、ソファに座る櫻木と橘に名刺を渡し、あきれたように呟いた。
「いくら友人同志の気軽な依頼が発端とはいえ、当社は本気で、御社に新規プロジェクトのプロモーションデザインを依頼したいと考えております。」
無礼な態度の晴斗にあきれることなく、橘は姿勢をただして言った。
「生憎、社長と副社長は海外に出張して不在のため、僭越ですが、専務である櫻木と専務秘書の私、橘がお願いにあがった次第です。」
櫻木と橘も晴斗に名刺を差し出した。
「百花、いえ、櫻木課長もぜひ同席したいとごねていたのですが、興奮しすぎて、公私混同しそうでしたので、先ずは我々が契約内容を提示してから、デザイン打ち合わせの場をセッティングさせて頂こうと考えました。」
厳しい表情を崩さず櫻木が続ける。
「なんせ諏崎さんを、勝手に素敵な男性デザイナー認定していますからね。」
橘は口角を少しあげて苦笑した。
「晴くん、私が女性だって伝えなかったの?」
「聞かれなかったから」
晴斗の答えに、クスクスっとまひるが笑うと、3人の男性の表情も柔らかくなった。
「晴くんのお友達の会社なら安心です。わが社をたてて頂いているお気持ちは十分伝わりました。今日は、堅苦しくしないで、フランクにお話ししませんか?」
まひるがそう告げると、男性3人は頷き、受付嬢が準備したコーヒーに手をつけた。
「まひるさん、勝手にサインとかしてないでしょうね!」
"ノックは飾りですか,,,?"
と、その場にいた誰もが感じるほどに、晴斗は勢いよく社長室のドアを開けた。
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櫻木コーポレーションから諏崎デザイン工房へのアプローチは、同社、企画・宣伝部課長の"櫻木百花"から、晴斗への打診という形で開始された。
二人は、アメリカ留学時代の知人ということで、帰国後もプライベートで、SNSやメールのやりとりを続けていた。
"晴斗が諏崎デザイン工房の副社長に就任した"
と、聞いた百花が、同社のホームページを覗いて見たのがきっかけだ。
Web上で展開される~独自の世界観~
"諏崎デザイン工房"
そんな検索ワードを入力すると、一番最初に現れるホームページアドレスをクリック
~ようこそ、未来の僕ら~
葉っぱの形をしたキャラクターが、小さな手を差し出してにっこりと微笑んでいる。
キャラクターの手の横にある"click"を押すと、訪問者はおもむろに手を繋がれ、ぐんぐん風にのって、移り変わる絶景の中を旅している、と錯覚させる魔法に魅了される。
赤、青、緑、黄,,,。七色の特徴的な色をモチーフとしたそれぞれの景色は何処か懐かしい。
ネットサーファーが癒しの旅を終えた後に辿り着く先は、
"諏崎デザイン工房"
海を臨む丘に建つ小さな小屋の玄関だった。
誰もがずっと見ていたいと感じるショートムービー,,,。
握っていたマウスが、手から落ちて音を立てたのを合図に、百花は現実に引き戻された。
なぜか、自身が抱えている新規プロジェクトへの意欲をかきたてられた。
『この会社にデザインを依頼したい』
そうして迷うことなく晴斗に連絡。本日に至るというわけだ。
++++++++
「ももか,,,、いえ、頼んできた櫻木課長さんはどうして同席してないんですかね?」
晴斗は、
『どうぞ宜しく』
と言いながら、ソファに座る櫻木と橘に名刺を渡し、あきれたように呟いた。
「いくら友人同志の気軽な依頼が発端とはいえ、当社は本気で、御社に新規プロジェクトのプロモーションデザインを依頼したいと考えております。」
無礼な態度の晴斗にあきれることなく、橘は姿勢をただして言った。
「生憎、社長と副社長は海外に出張して不在のため、僭越ですが、専務である櫻木と専務秘書の私、橘がお願いにあがった次第です。」
櫻木と橘も晴斗に名刺を差し出した。
「百花、いえ、櫻木課長もぜひ同席したいとごねていたのですが、興奮しすぎて、公私混同しそうでしたので、先ずは我々が契約内容を提示してから、デザイン打ち合わせの場をセッティングさせて頂こうと考えました。」
厳しい表情を崩さず櫻木が続ける。
「なんせ諏崎さんを、勝手に素敵な男性デザイナー認定していますからね。」
橘は口角を少しあげて苦笑した。
「晴くん、私が女性だって伝えなかったの?」
「聞かれなかったから」
晴斗の答えに、クスクスっとまひるが笑うと、3人の男性の表情も柔らかくなった。
「晴くんのお友達の会社なら安心です。わが社をたてて頂いているお気持ちは十分伝わりました。今日は、堅苦しくしないで、フランクにお話ししませんか?」
まひるがそう告げると、男性3人は頷き、受付嬢が準備したコーヒーに手をつけた。