恋をしようよ
朝目が覚めると、いつの間にか俺は彼女のベットの上で寝ていた。
そうだ、あれから休憩を挟みながらも、部屋中の色々な場所でしたんだったなと、反芻しながらなんともいえない幸せな気分に浸る。
けれどもナツはもう隣には居なくて、そっと脱ぎ捨ててあった自分の下着を身につけると、ナツの姿を探した。
彼女はリビングのテーブルに俺のシャツを広げて、アイロンをかけてくれている。
「おはよう、早いね。」
まだ6時前だななんて、壁にかけられた時計を見つつナツの後ろに回りこんでそっと抱きしめると、
「アイロン、危ないですよ。」
なんて、照れながらそっとその手を止めた。
「染みにならないでよかった、ちゃんと乾きましたからね、シャツ。」
俺はありがとうとお礼を言いながら、その洗いたてのシャツを着ると、さわやかなリネンウォーターの香りがして嬉しくなった。
俺がサラリーマンだったら、こうやって毎日ワイシャツをアイロンかけてくれたりするのかなとか、妄想してしまう。
「おなか空きません?何か食べますか?って言っても、シリアルぐらいしかないけど…」
俺の腕の中からするりと抜け出して立ち上がると、キッチンの方に何か食材を探しに行くので、俺もなんとなくついていって一緒に冷蔵庫をのぞいた。
その中には、牛乳とヨーグルトと、野菜ジュースや栄養ドリンク、ほとんど飲み物ばかりじゃないかと思うようなものばかりで、こいついつも何食べてんだってふと思う。
「やっぱ朝は、米食いたい。」
いつものクセで、正直にそう言ってしまうと
「ごめんなさい、ご飯は常備してないです。」
って謝られてしまうから、じゃあどっか食べに行こうってことになった。
その前に、とりあえず温かいお茶が飲みたいとリクエストする。
ナツはケトルでお湯を沸かした後、うちの姉ちゃんと同じように、きちんと湯冷ましを使って上手に緑茶を淹れてくれた。
なんだかお互いこうして並んでお茶を飲んでいると、また昨日のことを思い出して、始めてしまいそうになる。
いい加減もうしないけどな、あんなにやったから。
いつの間にか点けていたテレビのモニターには、昨日の続きだろうか?同じ会場で違うバンドが演奏をしていて、昨日抱き合いながら聞いていたあの曲とは対照的にゆったりとしたレゲエソングを演奏するバンドが映っている。
「帰ったら、このライブのレポ書かないとなあ…」
ぼんやりとお茶を飲むマグカップを握り締めながら、そんな風に言うから、やっぱり忙しいんだなって思うけれども、やっぱり出来ればまだ一緒にいたいと思ってしまう。
「なんかごめんな、仕事の邪魔だったか?」
「そんなこと全くないですよ、かえってなんか、やる気が出たっていうかなんていうか…
今までずっと、色々考えすぎちゃってて、筆が止まっちゃってたんで。今日はなんだか書けそうです。」
俺の方をじっと見つめて、にっこりと自然に笑いかけてくるその顔が、やっぱり昔会った時のあの少女だと思う。
再会できて嬉しいと思うのは、ずっと心のどこかで気にしていたからなんだな。
「すなお…俺のことほんとに忘れちゃった?」
急にその名で呼びたくなってあの時の事を聞いてみる。
「ごめんなさい、覚えてないんです…
でもね、お母さんから聞いた事があるんですよ。幼稚園の頃、ずっと私男の子の絵を描いていたって。
でね、その人だあれって聞くと、泣き虫のお兄ちゃんだって言ってたって。
私も知らないうちに、ずっと気になってたのかな?だからロックナイトで初めてカズヤさんを見かけたとき、あんなにときめいたのかもしれない。」
恥じらいながら節目がちにナツがそう言ってくれるから、なんだかすべてが報われたような気がして、涙が潤んでくるのを必死にこらえながら俺は天井を見上げていた。
「え、やだカズヤさん、泣いてるの?」
そんな姿もすぐに気付かれてしまって、「泣いてねーよ!」なんて強がりながら、俺は思いっきり彼女の頭をなでまわしてやると、ナツは無邪気に声を出して笑っていた。
そうだ、あれから休憩を挟みながらも、部屋中の色々な場所でしたんだったなと、反芻しながらなんともいえない幸せな気分に浸る。
けれどもナツはもう隣には居なくて、そっと脱ぎ捨ててあった自分の下着を身につけると、ナツの姿を探した。
彼女はリビングのテーブルに俺のシャツを広げて、アイロンをかけてくれている。
「おはよう、早いね。」
まだ6時前だななんて、壁にかけられた時計を見つつナツの後ろに回りこんでそっと抱きしめると、
「アイロン、危ないですよ。」
なんて、照れながらそっとその手を止めた。
「染みにならないでよかった、ちゃんと乾きましたからね、シャツ。」
俺はありがとうとお礼を言いながら、その洗いたてのシャツを着ると、さわやかなリネンウォーターの香りがして嬉しくなった。
俺がサラリーマンだったら、こうやって毎日ワイシャツをアイロンかけてくれたりするのかなとか、妄想してしまう。
「おなか空きません?何か食べますか?って言っても、シリアルぐらいしかないけど…」
俺の腕の中からするりと抜け出して立ち上がると、キッチンの方に何か食材を探しに行くので、俺もなんとなくついていって一緒に冷蔵庫をのぞいた。
その中には、牛乳とヨーグルトと、野菜ジュースや栄養ドリンク、ほとんど飲み物ばかりじゃないかと思うようなものばかりで、こいついつも何食べてんだってふと思う。
「やっぱ朝は、米食いたい。」
いつものクセで、正直にそう言ってしまうと
「ごめんなさい、ご飯は常備してないです。」
って謝られてしまうから、じゃあどっか食べに行こうってことになった。
その前に、とりあえず温かいお茶が飲みたいとリクエストする。
ナツはケトルでお湯を沸かした後、うちの姉ちゃんと同じように、きちんと湯冷ましを使って上手に緑茶を淹れてくれた。
なんだかお互いこうして並んでお茶を飲んでいると、また昨日のことを思い出して、始めてしまいそうになる。
いい加減もうしないけどな、あんなにやったから。
いつの間にか点けていたテレビのモニターには、昨日の続きだろうか?同じ会場で違うバンドが演奏をしていて、昨日抱き合いながら聞いていたあの曲とは対照的にゆったりとしたレゲエソングを演奏するバンドが映っている。
「帰ったら、このライブのレポ書かないとなあ…」
ぼんやりとお茶を飲むマグカップを握り締めながら、そんな風に言うから、やっぱり忙しいんだなって思うけれども、やっぱり出来ればまだ一緒にいたいと思ってしまう。
「なんかごめんな、仕事の邪魔だったか?」
「そんなこと全くないですよ、かえってなんか、やる気が出たっていうかなんていうか…
今までずっと、色々考えすぎちゃってて、筆が止まっちゃってたんで。今日はなんだか書けそうです。」
俺の方をじっと見つめて、にっこりと自然に笑いかけてくるその顔が、やっぱり昔会った時のあの少女だと思う。
再会できて嬉しいと思うのは、ずっと心のどこかで気にしていたからなんだな。
「すなお…俺のことほんとに忘れちゃった?」
急にその名で呼びたくなってあの時の事を聞いてみる。
「ごめんなさい、覚えてないんです…
でもね、お母さんから聞いた事があるんですよ。幼稚園の頃、ずっと私男の子の絵を描いていたって。
でね、その人だあれって聞くと、泣き虫のお兄ちゃんだって言ってたって。
私も知らないうちに、ずっと気になってたのかな?だからロックナイトで初めてカズヤさんを見かけたとき、あんなにときめいたのかもしれない。」
恥じらいながら節目がちにナツがそう言ってくれるから、なんだかすべてが報われたような気がして、涙が潤んでくるのを必死にこらえながら俺は天井を見上げていた。
「え、やだカズヤさん、泣いてるの?」
そんな姿もすぐに気付かれてしまって、「泣いてねーよ!」なんて強がりながら、俺は思いっきり彼女の頭をなでまわしてやると、ナツは無邪気に声を出して笑っていた。