恋をしようよ
シャワーを浴びて、身支度を整えると、俺とナツは朝食をとりに出かけた。

「朝からご飯食べれるとこってあるかなあ…」
ナツが近所にそういう店ないか悩んでいるところで、牛丼のチェーン店が目に入ったので、あそこで良いよっていったら、そんなんで良いんですかってなんか笑って言われてしまう。

「カズヤさんもこういう店来るんですね。」

2人で朝定食を頼むと、生卵をかき混ぜながら、なれたようにナツは白飯にそれをかけて食べている。

「たまにはね、オール明けとかでちょっとよったりするよ。ナツはよく来るの?」

「ハイ、たまに無性に朝からご飯食べたい時とか、たまに来ますかね。お肉は苦手なんで、朝定ばっかですけど。」

洒落た店は緊張するからと、いつもは居酒屋とか定食屋とかが多いと、そんな風に話してくれるので、今度連れて行ってよって言ったら、いいですよなんて答えてくれる。

「どうせカズヤさんは、この前みたいな店とか、ホテルのレストランとかバーとか、そういうとこ行っちゃうんでしょう?」

きちんとお箸を置いてから、味噌汁を食べるそのしぐさが、やっぱちゃんとしてるんだなってぼんやりと眺める。
俺は、ご飯にそのまま卵を割ってから、しょうゆをかけて食べ始めた。

「まあそういう店も行くけどさ、いつもは姉ちゃんちの近所の居酒屋ばっか行ってるかな。それか、姉ちゃんちで飯食ってる事が多いな。」

「なんだか仲がいいんですね、りんさんと。いいなあ、うちはお兄ちゃんとご飯なんて行かないもんなあ。」

そのうち姉ちゃんとこにも連れてくかなぁなんてぼんやりと考えていた。


「そういえば、今後はお稽古きてくれるよね?ナツならずっと月謝免除でいいからさ。」

週一のお稽古とご飯デートと、それからそれからと、色々考えていたけど、ナツの予定はどうなんだろうか?
また何週間も会えないとかになると、ホント身体がもたない。なにせ、女の子がかぶってないことって初めてだからな。

「なんか悪いですよそんな。」

恐縮して断られそうだったけれども、「俺がそうして欲しいんだよ。」といつものようにちょっと強引にお願いすると、「じゃあお願いします。」と何とか了承してくれた。



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