恋をしようよ
「なあ、失礼を承知で聞くけど、本当になっちゃんの彼氏なん?」

空いた皿を片付けにきたさっきの店員が、急にそんな風に話しかけてきてびっくりした。

「え?まあそうだけど、なんで?」

「いや、なんかホストかなんかかと思ったわ。同伴とかあるやん。あんた女慣れしてそうやしな。」

屈託のない笑顔でそういわれると、なんだか憎めなくて思わずこっちも笑いそうになる。

「俺そんなにチャラくみれんのかね?かなり真剣に付き合ってんだけどな、俺にしては。」

やっぱりその態度から見ると、ナツが言ってる以上にやっぱり親密な仲なのかと思ってちょっとジェラシーも感じながら、そんな風に答えていた。

「まあちゃんと付き合ってんならいいけどな、なっちゃん俺らのつぶつぶマスコットやから、大事にしてあげてーな。」

そんなこと言われなくてもわかってるさって言おうと持ったら、ナツがすぐに戻ってきたので、そこまでは返せなかった。

「ちょっと矢上さん、何話してんですか!?」

ちょっと怒った口調でそうヤツに言っている。

「なっちゃんをよろしくって、挨拶してただけやん。もう失敗すんなよ。」

意味深なことを言い残して、俺たちに伝票を渡すと、やつはまた違うテーブルに呼ばれて注文を取っていた。


「ごめんなさい、なんか変な事言われてないですか。」

「いや別に、なんでもないけどな。じゃあ行こうか。」


会計を済ませ店をでると、すっかり夜も更けていて、俺たちはなんとなくいつものように並んで歩いて駅の方まで向かった。

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