恋をしようよ
9.5
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*********
『シンデレラはなんで王子様に出会えたと思う?
それはね、夜遊びをしたからなんだよ…』
そんなフレーズを見かけたのはツイッターだったかな?
初めて来たクラヴの取材、編集長に紹介されたDJ久地さんのプレイを眺めながら、そんなことを思っていた。
お洒落に着飾った男女が、音楽とお酒と、ちょっとの出会いを求めながら、まったりと踊り歌うその環境は、ライヴハウスに似ていて意外にも楽しかった。
慣れない私は、音のいい場所を探して一番隅のカウンターに座りハコの中を眺める。
少し空気が変ったなと思ったら、一人の男性が華麗に現れて、そこに来ていた女の子達の視線が一瞬でそこに集まっていくのがわかった。
清潔感のある短髪に、着流しの着物と雪駄姿。
それが妙に嵌っていて思わず見惚れる。
ずいぶん和風な王子様だなと思った。
それからだずっとだ、ずっとこのイベントに毎週通いつめては、その王子を探していた。
気まぐれな彼は、毎週決まってくることはなくて、たまに見かけるとずっと目で追っていた。
毎回やってきたとたん、適当な女の子が一気に彼の周りに群がる。
しばらくしてから一番綺麗な女の子の手を取ると、一緒にお酒を飲んで、一緒に踊って、彼女をエスコートしながら知らぬ間に消えてゆく。
ああこうやって女子はお持ち帰りされるのかと,他人事のように眺めてばかりいた。
「いつも一人で来てるね?」
そう声をかけてくれたのは、髪の長くて素敵な大人の女性だった。
きっと、例の王子もこういう女性がお似合いだなと思いながら、彼女の問いに答える。
「久地さんのDJがカッコいいんですよね。」
それは本当の話だけれども、どうしても好きな人を見たくてとはいえずに口ごもる。
お互い自己紹介をしてしばらく一緒に飲んでいると、今まで緊張してここに来ていた気持ちが、少しほぐれた気がしていた。
彼女もまた、王子と同じ雰囲気をまとった人で、彼女が来るとそこにいる男性達の表情がみな穏やかに変る。いや、男性だけじゃない、私達だってなんだか楽しい気分にしてくれる、そんな素敵は人だった。
ああここは夢の中なんだ、ずっと夢を見ているに違いない。
私は毎週、この夢の中に居たくてずっと通い詰めていった。
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『シンデレラはなんで王子様に出会えたと思う?
それはね、夜遊びをしたからなんだよ…』
そんなフレーズを見かけたのはツイッターだったかな?
初めて来たクラヴの取材、編集長に紹介されたDJ久地さんのプレイを眺めながら、そんなことを思っていた。
お洒落に着飾った男女が、音楽とお酒と、ちょっとの出会いを求めながら、まったりと踊り歌うその環境は、ライヴハウスに似ていて意外にも楽しかった。
慣れない私は、音のいい場所を探して一番隅のカウンターに座りハコの中を眺める。
少し空気が変ったなと思ったら、一人の男性が華麗に現れて、そこに来ていた女の子達の視線が一瞬でそこに集まっていくのがわかった。
清潔感のある短髪に、着流しの着物と雪駄姿。
それが妙に嵌っていて思わず見惚れる。
ずいぶん和風な王子様だなと思った。
それからだずっとだ、ずっとこのイベントに毎週通いつめては、その王子を探していた。
気まぐれな彼は、毎週決まってくることはなくて、たまに見かけるとずっと目で追っていた。
毎回やってきたとたん、適当な女の子が一気に彼の周りに群がる。
しばらくしてから一番綺麗な女の子の手を取ると、一緒にお酒を飲んで、一緒に踊って、彼女をエスコートしながら知らぬ間に消えてゆく。
ああこうやって女子はお持ち帰りされるのかと,他人事のように眺めてばかりいた。
「いつも一人で来てるね?」
そう声をかけてくれたのは、髪の長くて素敵な大人の女性だった。
きっと、例の王子もこういう女性がお似合いだなと思いながら、彼女の問いに答える。
「久地さんのDJがカッコいいんですよね。」
それは本当の話だけれども、どうしても好きな人を見たくてとはいえずに口ごもる。
お互い自己紹介をしてしばらく一緒に飲んでいると、今まで緊張してここに来ていた気持ちが、少しほぐれた気がしていた。
彼女もまた、王子と同じ雰囲気をまとった人で、彼女が来るとそこにいる男性達の表情がみな穏やかに変る。いや、男性だけじゃない、私達だってなんだか楽しい気分にしてくれる、そんな素敵は人だった。
ああここは夢の中なんだ、ずっと夢を見ているに違いない。
私は毎週、この夢の中に居たくてずっと通い詰めていった。