恋をしようよ
お稽古が終わるとカズヤさんの部屋に呼ばれる。

離れで着替えた自分の服もこちらの用意してあって、後で着替えなきゃなとぼんやりと出されるままにお茶を飲んでいた。

本格的なジャスミンティは、熱すぎずぬるすぎず程よい温度で、一口含むとふんわりとエスニックな香りがして、
また夢の中にいるような気がした。

ああそうだ、どうせ夢ならば、思いのままに過ごしてみよう。


もしもこの人に抱かれる事があるのなら、もうそれだけでいい、もう一生一人でもいい。

無意識に私から誘っていると、すぐに抱き上げられて、ベットに連れて行ってもらえた。


カズヤさんはやたら真剣に私を見つめながら。夢のような言葉を落とす。


「結婚を前提に付き合って…」






ああやっぱりこれは、私の妄想で幻想で、夢の中のままなんだとそのままの流れに任せていた。

キスをすればまた忘れられなくなりそうなのに「ちゃんとキスしてたらしてあげる」なって甘い言葉が落ちるから、どうしようもなく止められなくなる…この恋に溺れていく…


カズヤさんの指が舌が、体中をめぐる。
こんなに気持ちいいものだったっけ?こんな感情知らないと思う、初めてでもないくせに。
心から大好きな人と肌を合わせるだけで、こんなにも高ぶるのもなんだと初めて気付く。
今までのそれは何だったんだろうかと…

カズヤさんは、嬉しそうに私の頬を撫でると、何度も深くて優しいキスをくれた。

こんなにも好きで、好き過ぎて、胸が苦しくて痛い…
だから、もうこれでおしまいにしなきゃいけないと思う。



独り占めに出来ないのならば、どうか誰のものにもならないでと
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