against
自分の思考は変わっていると言うのが前提だからこそ、私は俊也がいるとより安心する。

普通に見えるこいつも変わった奴だと思う。こんな所で私なんかと平気で喋ってるんだから。

そう言えば、学校で見た時よりも幼く感じる。

一通り笑い終えた俊也は、ジロジロ見ていた私に向かって「っんだよ」と目を細めて呟いた。

「別に〜こんな奴が世の中の乙女たちは好きなんだと思うと、情けなくて」

大袈裟に悲しい顔をしてから、笑ってやった。

「なっ……情けねぇってお前、モテないからってひがむな」

逆にニヤッと返されムッとしたのは事実だけれど、私がモテないのも事実で反論も弱々しくなる。

「私の周りはかわいい子が多いから」

これもまた事実。

実際、奈津美も綾菜もモテるの部類。

というより、私以外の女の子はみんな何処かしらかわいい部分を持っていて、捻くれた私なんかよりも何倍もかわいい。

「そうかね」

「そうだよ、俊也だって綾菜にデレっとしてたくせに」

私はこの間の出来事を思い出していた。いや、思い出すんじゃなくて、ずっと思っていたのかもしれない。
口にしてしまってから、バカな事だと気付く。

私らしくない。



< 102 / 163 >

この作品をシェア

pagetop