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11.ヒトリ
ーー気配を消すために、息を乱さぬよう急いで歩いた。
歩くたびに声が出そうになる。昨日、あれだけ歩いた事が悔やまれる酷い筋肉痛だ。
この辺なら誰もいない。
やっと息を吸える安心感から、大きな溜め息に似た息を吐き出していた。
壊れた時計は直らずに、あれだけ加速したにも関わらず、前よりももっともっと遅く時を刻んでくれる。
とりあえず昼休みはクリア出来そうだ。
校舎の外に出たのは正解だった。朝から窮屈で苦しかったから。
……これから毎日こうなるのかな。
また溜め息混じりの息を吐いて、ちょうどいい高さにあった壁の出っ張りに腰をかけた。