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お尻がひんやり冷たい。

ジメジメと陽が当たらない校舎の裏にいると、今日が穏やかなポカポカ陽気だということを忘れてしまう。

また一つ、今度は小さな溜め息を吐いて辺りを見渡してみる。人の気配はない。

当たり前か。こんな所にくる奴なんているわけないから、私はここにいる。

鞄に入っているお弁当もこんなところでは食べる気がしない。そのうち慣れるのだろうか。そう思いながらペットボトルの蓋を捻り、お茶を一口飲んだ。

はぁもう帰りたいな……

安心感から頭で考えていることをつい言葉に出してしまいそうになる。いや、出ていたのではないか、なんて、意味もなく焦る。

それだけ今日は人と接していない。家を出てから誰かと喋っただろうか。

さっき潤ったはずの口は使われないことを嘆くようにどんどん渇いていく。

奈津美は勿論、今日は体調が優れないのか綾菜も学校にはいない。

そんな日は今までもあったわけで、そんな時はそれを補えるクラスメイトというキャラもちゃんと存在している。

意味をなさない場所であっても、自分の居場所を確保することは常にやってきた。










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