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「ははっ!何だよそれ、お前単純すぎ」

あれから教室へ戻ると突然の私の行動に担当教諭がビックリしていたけれど、「お腹が痛かった」と言えば納得してくれた。

「だって、わからなかったんだもん」

その後のテストも無事に終え、お昼には下校した私は、いや、私たちというのだろうか。私と俊也はいつものベンチに並んで座っていた。

並んで座るのはいつもの事だけれど、今日は何故か私のお気に入りのベンチに。二人で。

「わからねぇな、建前かもしれねぇじゃん」

「それくらい雰囲気でわかるよ」

私は綾菜との話を俊也に話していた。いろんな事をぶちまけてみようと思ったのは何となく。

この間俊也の話を聞いたからとか、ではないと思う、たぶん。

「じゃあ何を疑ってたんだよ?」

「それは……」

何だろう。でも私は綾菜との関係性を確かに疑っていた。

疑う事なんてないって、今ならわかるのに。

「全てをさらけ出せないっていうか、それの後ろめたさみたいな……感じ?」

「全てをさらけ出せるのが友達ってこと?」

やけに問いかけてくる俊也だけれど的確で、考える時間は十分に用意されていて、テストなんかよりも難しい問題が少しずつ解かれていくようだった。

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