against
1.放課後
もうすぐ今日が終わる。
私の腕で一番長い針が一周すると同時に、次に長い針も少しだけ動く。
一番短い針なんて動いたか動いていないのかわからない。
私は一番長い針が好き。小さなハートが付いているからって言うのもあるけれど。
どの針よりも速く進んでくれるから。
短い針も壊れたように速く進んでくれないかな。
終わりを告げるチャイムの中、そんな事ばかり考えていた。
「涼子帰ろ〜」
チャイムを聞き終わる前に、チョコレートのような甘い声の奈津美が私の席まできていた。
その後にはニコッと笑う綾菜の姿。
見つめていた腕時計をセーターの袖でサッと隠し、机の横に掛けられた学生鞄に手をかける。
帰り支度が朝からできている鞄を、ひょいと持ち上げ席を立った。
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私の腕で一番長い針が一周すると同時に、次に長い針も少しだけ動く。
一番短い針なんて動いたか動いていないのかわからない。
私は一番長い針が好き。小さなハートが付いているからって言うのもあるけれど。
どの針よりも速く進んでくれるから。
短い針も壊れたように速く進んでくれないかな。
終わりを告げるチャイムの中、そんな事ばかり考えていた。
「涼子帰ろ〜」
チャイムを聞き終わる前に、チョコレートのような甘い声の奈津美が私の席まできていた。
その後にはニコッと笑う綾菜の姿。
見つめていた腕時計をセーターの袖でサッと隠し、机の横に掛けられた学生鞄に手をかける。
帰り支度が朝からできている鞄を、ひょいと持ち上げ席を立った。
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