against
今日のカラオケは、三日くらい前に奈津美が言い出した。
奈津美が言い出さなくても、テスト期間はよくこうして遊びに行く。
何でもない時間が多過ぎるんだ。
勿論、綾菜も来る予定だった。しかし、今日の一限目、「無理になった」と断られたのだ。
「涼子だったらさー友達と恋人どっちとる?」
部屋に入るなり、ピッピッピッと機械を操作しながら奈津美は言った。
どれが正解かがわからない。
なんと答えれば奈津美は納得して、綾菜は傷つかずに、私は今の位置にいられるのだろうか。
そしてまた一つ、私はミスを侵す。
「先に約束した方かな」
誰かを傷つけずに。
誰の上にも立たずに。
誰の下にもつかない。
そんな生き方はないのだろうか。
それでも今は、小さな……ほんの一瞬の事だから。
「だよね〜、なに歌おっかな〜」
この時が過ぎれば全て過去の、人生の『点』でしかない。
早く終わればいいのに。
腕に巻かれた時計の金具が、ぐっと食い込む気がした。
奈津美が言い出さなくても、テスト期間はよくこうして遊びに行く。
何でもない時間が多過ぎるんだ。
勿論、綾菜も来る予定だった。しかし、今日の一限目、「無理になった」と断られたのだ。
「涼子だったらさー友達と恋人どっちとる?」
部屋に入るなり、ピッピッピッと機械を操作しながら奈津美は言った。
どれが正解かがわからない。
なんと答えれば奈津美は納得して、綾菜は傷つかずに、私は今の位置にいられるのだろうか。
そしてまた一つ、私はミスを侵す。
「先に約束した方かな」
誰かを傷つけずに。
誰の上にも立たずに。
誰の下にもつかない。
そんな生き方はないのだろうか。
それでも今は、小さな……ほんの一瞬の事だから。
「だよね〜、なに歌おっかな〜」
この時が過ぎれば全て過去の、人生の『点』でしかない。
早く終わればいいのに。
腕に巻かれた時計の金具が、ぐっと食い込む気がした。