against
緩やかな坂を更に緩やかに。悪く言えばダラダラと。

カカトを潰して履いているローファーを極限まで引きずる。

コンクリートとそれとが擦れる音が気持ち悪い。

靴のカカトを踏むのは好きじゃない。それでも私は今日も足を引きずるんだ。

坂を下りるとすぐにクレープ屋があった。

ワゴンの周りに、大きなパラソルの付いたテーブルなんかもある。

店の狙い通り、周辺には同じ制服を着た学生たちでいっぱいだ。

「どれにする〜?」

実物よりもはるかに立派な模型を見ながら、悩むフリをしてみたり。

こういう時はいつも奈津美が先に選ぶ。

「チョコバナナスペシャル…いや、デラックスだな」

そこで綾菜が更に時間を延ばす。これもいつものこと。

「こっちの方がよくない?」

で、最後に私の出番。

「あ〜美味しそう。涼子は?」

うーんと悩んだフリをして、チョコバナナデラックスを選ぶ。

すると結局は三人共同じ物を食べる事になるから不思議。
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