against
6.欲しいもの
温かい日差しがカーテンの隙間から顔を出し、昼になる前に目が覚めた。

決まった時間に起きなくていい今日は、少しだけ時を忘れる。

遅い朝食はトーストとお湯を入れるだけのコーンスープ。

静かすぎる台所で、小さな昔からある古いテレビのスイッチを入れた。

休日のしかもこんな時間のテレビ番組は、前に見たバラエティーの再放送。

とくに見るわけでもないけれど、誰もいない台所に人の笑い声を響かせながら、トーストをかじった。

母はいつものようにパートだろう。

弟は部活かな。

そんな事を考えていると、マグカップのコーンスープはなくなっていた。
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