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思いだしたかのように、部屋に行って服を選ぶ。

流行りだけで買ってしまったこの服は、次の春には着られないんだろうな。

正確に言うと、『着られない』のではく『着ない』のだろう。

体型が劇的に変化することもないだろうし、服に穴が空く事もきっとない。

それでもきっと『着ない』

世の中にはくだらないくらい無駄なものが沢山ある。

でも、その無駄を作るのも自分で。

せめて、擦り切れるほどこの服を着てあげたいと思うことは、『変わっている』とか『間違っている』の部類に入ってしまう。

真っすぐ進みたくて、その服を手にするけれど、先週着ていた事に気付く。

綺麗に洗濯され、泥も染みもついていない。

そんな服を着ない自分が大っ嫌い。

着られない世の中が大っ嫌いだった。

結局、隣にあった服を着て、いつものメークをした。

意味もなく、気合いの入った自分が鏡に現れる。

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