against
気合いが入ったって言うのは不適切で、作り上げた自分って言った方がお似合いだった。

せっかくの休日もこれじゃ台なしだ。

ちょっとの距離なのに。

私、ほんとに何してんだろ。

無理して買ったパンプスを履いて、家を出ると今日もまた青く晴れた空があった。

いつもより遠回りして着く場所は、やっぱりあの場所で。石の階段はこんな私に甘くはない。

一段、一歩、踏み込むたびに足の指はパンプスにめり込んだ。

先の細くなったパンプスに、限界まで縮んで曲がった指先。

平ではない階段に、グラグラして、しっかり立つことのできない細いヒール。

半分くらいあがったところであほらしくなり、転げ落ちないようバランスをとって、パンプスを手に持った。

小さな石が痛いけれど、ベタッと足をつけるとひんやり気持ちがよくて。

てっぺんに着くころには、初めて歩いた子供のように、地面の感触を味わっていた。
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