against
枕になってしまっているトートバッグを手で探り、中から見つけ出したペラペラな頼りない紙の束。

太陽を隠すように目の前で広げた。

このヒラヒラと小さな風でも揺れてしまう薄い雑誌は、さっき遠回りをしてまで貰ってきたフリーペーパー。

あぁいいのない。

私はそのフリーペーパーに載っている求人情報を、隅から隅まで見ていた。

世の中には沢山仕事があるはずなのに。

私を求めてはいないようだ。

『18歳以上』『高校生不可』そんな文字がやたら目につき、イラつく。

それはまだ許せる範囲で。

『一般750円』『高校生650円』なんて文字にいい加減うんざりする。

100円の差は何なんだろうか。

今日もバイトは見つからなかった。

春休みに短期で入ったバイトを辞めてから、二ヶ月近いプー生活。

そろそろ働かなくては、生きていけない。
< 68 / 163 >

この作品をシェア

pagetop