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イチゴの沢山入ったのが食べたかったんだけどな。

自分の意見なんていらない。

三人一緒のクレープを貰い、空いていたテーブルで食べる事にした。

放課後の寄り道。女子高生にはなくてはならない時間。

「そういえばさ―」

奈津美がこうやって喋り出す時はいっつも恋の話。

うんうん、と首を縦に振りながら頭に全く入らない話を聞く。

丁寧すぎるくらい時間をかけてクレープを食べても、女たちの話は尽きなかった。

女の子はお喋りが好き。とくに恋の話はね。

私がそうでもない事を二人は知らない。

それでも二人を嫌いなんかじゃない。

三人共同じ方向の電車に乗る為、いつも登下校は一緒。

クラスも誰が決めたのか二年になってから三人一緒になった。

派手な色の髪を、毎日くるくる巻いて登校する奈津美は、お姫様のような甘い雰囲気。

女の中の女だ。

それに負けないくらい美人の綾菜。綺麗に磨がれた爪に、可愛いネイルは欠かさない。

二人とも中学は違うけれど、入学してすぐに声をかけられ仲良くなった。



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