against
昨日の様子、私が感じた疑問。全てをひっくるめて一言で済ませようとしたら、本当に一言で済んでしまった。

「気になる?」

答えは単純なものではなかったけれど。

嫌な男だ。

きっと私が『あなたのことが気になってます』オーラを出せないことを知っている。いや、知ってしまっているくせに。

「全く気になりません」

こう答えるしかなくなるじゃん。

もしかすると、こう答えて欲しいのかもしれない。単純にからかっているだけだろうけれど。

見透かしたような眼差しを向ける男を見て、そう思う。

「俺、妹いるんだよね」

フリーペーパーをクルッと丸めだし、あらゆる所を叩き始めた俊也は、私と全く逆の方を向いて、嬉しそうに話を続ける。


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