against
一年以上も毎日毎日顔を合わせていた奈津美が、今何を考え、何をしているのかさえ私にはわからなかった。

女の友情はやっぱりないに等しいのだろうか。

そんな奈津美を綾菜はひどく心配しているようだった。

何だかそれもホットミルクの膜のように見えて、嫌になる。

それでよかったはずなのに、そこに浸かっているとそれでは足りず、自分は欲深い人間だったんだと思いはじめていた。

電車が到着する前に「遅刻?」と軽めのメールを打った。

しかし、一限、ニ限……お昼ご飯を食べても奈津美からメールが届くことはなかった。

「休むのかな?」

お弁当の包みを丁寧に開いて綾菜は言った。

「わかんない、奈津美ってこういう事前にもあった?」

綾菜と奈津美は同じ中学だ。私の知らない奈津美を綾菜は知っているかもしれない。

「中学ん時?」

「そう」

私が卵焼きを口に入れながら頷くと、綾菜は難しい顔をしていた。

「昔はしょっちゅう、高校入ってからはなかったんだけどね……やっぱりなんかあったのかな」

意外な言葉に卵焼きを飲み込むタイミングがつかめない。
< 82 / 163 >

この作品をシェア

pagetop