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そんな事できないのはわかっているけれど、進むことすら諦めてしまったような時計の針に、何かしたくなってしまうんだ。

残酷な時は私を置いて過ぎていく。

それでいいじゃんって。

それが私の望んでいる時だって。

何度も何度も言い聞かせて今日を終える。

放課後、綾菜が彼氏のもとへ行くことは、すっかり当たり前になっていた。

奈津美がサボりがちになり、よけい彼氏に執着しているようにも見えた。

そんな中、私だけはあの場所へも向かわず、真っすぐ家に帰るのだった。

私はやっぱり流れに乗れない。

縛られれば自由を求め、自由になればなるほど、何がしたいのかわからなかった。

次の日、朝からどんより暗く、重たい雲が空を覆っていた。


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