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そんな小さな誇りが、なんの為にあって、誰のために役に立つと言うのだろうか。

奈津美も同じ事を思っていたのかな。

ベンチに座り、また黒くなっていく空を見上げ、「降るなら降れ」と睨みつけてやった。

変な天気。

奈津美の『停学』は無期限のものらしい。

飛び交う噂からの情報だから何とも言えないのだが。

それでも『謹慎』ではなく『停学』だった。

私は『謹慎』よりも『停学』の方が重いと認識している。

それも全て曖昧なものだけれど。

うちの学校では、三回の『謹慎』もしくは、二回の『停学』で『退学』になると聞くし。

『謹慎』はよくあるし、『謹慎』になった子はちゃんと学校に戻ってきていた。

『停学』はどうなんだろう。

私の感覚は『よくある』や『なってしまった』でしかなくて。

きっと当事者になったとしても、そんな感覚しか生まれないと思う。

結局は勝手に決められたルールと罪で、何が悪いのか?なんて考えない。

ルールが曖昧だと、罪も曖昧になる。

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