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「はぁ」

私は大袈裟にため息をついた。ぐるぐると『停学』について考えていると、俊也が隣に立っていたのだ。

「何でいんのよ、まだ授業中でしょ?」

ここへ来てから30分も経っていないと思う。

「人のこと言えんのかよ」

「私は初めてだもん、いいじゃん。 あんたは常習犯っぽいよね」

ニヤリと人の気も知らない笑顔を向けた俊也は、隣のベンチに深く座る。

「初めてだったら何でも許されるのかね」

遠くの空を見つめて俊也は吐くように言った。

「次からしませんって言えば許されるんじゃない?」

思いつきで出た言葉だけれど案外私の素直な言葉だった。

「でも許せねぇ事も絶対あるよな?」

俊也が強く同意を求めているようで、それでも本意に「まぁね」と返した。


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