地獄的恐怖鬼ごっこ
「う、うん! そう!」

みのりのフォローに慌てて頷く。

嘘をつくのは嫌だけど、正木に迷惑をかけるのはもっと嫌だ。

正直心が痛むし、慰めてもらいたい気分にもなるけど、私の味方というのがバレて、正木自身も苛められるかもしれないというのが怖い。

それについてはみのりも同じだけれど。


「ねえねえ。私気になってたんだけどさ」

みのりが自分に話が向くように少しだけ大声で喋った。

「学区内に対する鬼の数、少なくない?」

そう言えば、そう思う気がする。

鬼は十五人。一丁目とか二丁目とか、

一区切りにして鬼を置いたとしたら、何処かにはいない所が必ずあるだろう。

「確かにな。ミッションか何かしらあるんじゃないか?」

ミッション……。これだけ人数がいれば誰かしらやると思うけど……。

全員達成しなきゃいけないミッションなのかな?
でも、そうすると百何十人いるこの学年全員が達成するのは難しい。

いや、難しいけれど、命を懸けるならば四人チームの誰かしらはやるのだろうか。

失敗したら勿論罰はあるだろうし。

それが明確では無い分、恐怖の度合いは増す。


「そっか……」
みのりは、少し不安そう。

そういえばみのりは、正木のことが好きらしい。

だからか、先ほどから正木のことをチラチラと見ている。

私は、みのりの事を応援してあげたいと思ってる。

正木とも喋ることはあるけど、お互いに友達程度としか思ってないと思う。

たまに来る私のドキドキは、女子として当たり前の事。

私は、正木のことが好きではない。

そもそも、好きだったところで、バレたときに怖い。
正木に迷惑をかけてしまう。

そうやっていつも人の目を気にしてしまうから、
私には人を好きになる資格なんてないんだ。

だから、みのりの事を応援してあげる。

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