地獄的恐怖鬼ごっこ
「それにしても、中学校学区内の中に十五人の鬼か。場合によっては、夜が明けるまでは見つからないかもしれないよな」

そう。逃走者の勝利条件は運営との接触。

それが誰かは分からないけれど、運営を見つけない限りこのゲームは終わらない。


──ブブブブ、ブブブブッ。

私のジャージが微かに震えた。

皆も着信がきたらしく、携帯を確認している。

《ミホ、ユメ、ユウタ、ヒロ、スズ、捕獲確認。
以後、捕獲人数のみ記載》

私は正木をちらりと見てみる。

呆然、と言ったらいいだろうか。

携帯をぼーっと見つめている。


「鈴……!!」

みずきは携帯をギュッと胸に押し当てて目を閉じる。

二人とも、泣いていた。

みのりは、この状況を辛く思っているのか、皆と目を合わせようとせず、俯いている。

じゃあ、私は……?

悲しめない。悲しんでいない。

いくら、見て見ぬふりをしていた人間、私を苛める人間
だとしても。

一人一人の命は重く、尊い物。

同じ学校、学年だったのに。

どうして悲しめないのだろう。
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