地獄的恐怖鬼ごっこ
「あや、か?」

みのりは私の行動に、一瞬だけ戸惑いの表情を浮かべたが、すぐに走り出した。

「あやか、どうして」

そんなこと言われても。

私はみずきの問いを無視して、手を引いて走り出した。

何処かに隠れなきゃ。鬼は今は居ないけれど、みずきを落ち着かせる。

正木とみのりとははぐれてしまったけど、確か携帯で連絡がとれるようになっていたはず。

「嫌だ! 来んな!! 嫌ぁあ!!」

みずきは私が引いている右手とは逆の左手をブンブンと振り回していた。抵抗のつもりなのだろう。

鬼と私達の速さはほぼ互角。距離が一向に遠ざからない。

何処かに隠れなくてはそれこそ吉田さんみたいに……。

私は辺りを見渡す。
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