地獄的恐怖鬼ごっこ
そこにあったものは、恐らく人であったものの死体、死体、死体。

それを理解すると、私からは呪文のように「嘘でしょ」という言葉が流れ出てくる。

――ブブブブ、ブブブブ。

捕獲者を知らせる音だ。でも、その音は全く耳には入ってこない。

「嫌!! 助けて!! 出してよ!! ゲームを終わらせてよ!!」

みずきは涙で顔をぐしゃぐしゃにしながら、上を向いて泣き叫ぶ。

「おい、みんな、落ち着けって……おいッ!!」

「みずき!!」

みずきは私たちが来た道を走って戻っていった。

そんな。単独行動は危ない……!

でも、何故か、私たちは立ち尽くすことしかできない。

怖くて、震えて、足が動かない。

「待って……みずきが死んじゃう」

涙が出てきそうになるのを必死に堪えた。

「二人とも、待ってて! 私が探してくる」

「待って!! みのりも単独行動は危ないよ!」

みのりは私の言葉をかわし、速度を緩めることなくそのまま走っていった。

「ねえ、私達も……追いかけなきゃ」

死体の山の方へ立っている正木を直視できずに、目を反らしたまま私は問いかけた。

正木は無言で頷く。その目は多分、まっすぐで、真剣な表情だっただろう。
< 53 / 73 >

この作品をシェア

pagetop