地獄的恐怖鬼ごっこ
「ふぅ……ッ、はぁ……!」

私は息を切らしていた。遠くに見えるみのりをなんとか追いかけようとしたのだが、すぐに見失ってしまった。

「ご、ごめ……私の体力がないばっかりに……」

肩で息をしつつ、言葉を途切れ途切れに言う。

正木の方を見ると、平然としていて、疲れていなさそうで、とにかく二人が心配なようだった。

「あやか、息平気か?鬼に見つかったらまずいだろ」

「そんなこと言われても……」

そんなこと言われても、こっちだって疲れたい訳じゃない。鬼に見つかったら、私が奇跡でも起きない限り捕獲されてしまうのは重々承知している。

「ほら」

「え?」

正木は、私に背を向けてしゃがんだ。

これって……おんぶ?

「でも! そんな悪いよ、だって……」

私は、こんな時なのに恥ずかしくて、顔が真っ赤になってしまいそうだ。もしかしたら、なってしまっているかもしれない。

私がそう遠慮している間も、正木はしゃがんだまま動こうとしない。

その正木の勢いに負けて、私は、仕方なく背中に乗る事にした。

「ちゃんと捕まっとけよ」

「うん……」
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