地獄的恐怖鬼ごっこ
背中が温かい。正木の温もりを直に感じて、身体に染み渡るようだった。

そういう風に意識していくほど、私は恥ずかしさで顔を下げてしまう。

私のドキドキと鳴る心臓の音も、もしかしたら聞こえてしまっているかもしれない。

「おい、あやか!」

「えっ?」

突然呼ばれたから、私は気の抜けた声を出してしまった。

どうやら、何度も呼ばれていたらしい。自分の事を考えてしまうと、他の周りの事に集中ができなくなる。

「何か聞こえないか? ……みのり?」

みのりが近くにいる。私は意識を耳に研ぎ澄ます。

──ううっ。うっ。

< 55 / 73 >

この作品をシェア

pagetop