地獄的恐怖鬼ごっこ
何かが箱の中で街灯に照らされ、反射しているのが見えた。

二人は気がついていない。

恐る恐る近づいて、手に取ってみる。

それは、小さな赤いリボンがついたピンだった。

どうみても、私たちみたいな年代の人がつけるようなものじゃない。

それをポケットに仕舞おうとすると、誰かに肩を叩かれた。

「ねえ。それ何? 可愛いね。付けさせて!」

それは、みのりだった。にっこりと笑顔で私にしゃべってくる。

「何か、運営のヒントになると思って……私が持ってるよ」

私は今度こそポケットに仕舞おうとした。

その手をみのりはガシッと掴む。

「ちょっと……!?」

みのりはよほどこのピンが欲しいのだろう。

「こんなのヒントにならないよ。第一、子どもがつけるものじゃん」

片方の手でピンをひったくるようにして取った。

「あやかは、おっちょこちょいだからすぐ落としそうだもんね!」

もう。みのりったら。そんな風に思いながら苦笑いを浮かべる。

私、そんなにおっちょこちょいに見えてたのかな……?

考えると、恥ずかしくなってきたので考えることをやめた。
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