君と命と夏空と。
第1章
世界
この世の終わりは、いつ来るのだろうか。
一時期世間で騒がれた地球の終わりなんて日も、気づけばとっくに過ぎていて。
この世が勝手に終わって、まるで初めから無かったかのように、何もかも消えてしまったらいいのに。
そんな願いをかけたって、結局終わらなかった世界に期待するのだって、もうやめてしまった。
「…はぁ、」
ため息をひとつ吐き、自転車を漕ぐ足を止める。
ジリジリと鼓膜に縋り付く蝉の声が鬱陶しい。
「……………暑い」
そんな高校3年目の、真夏。