外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
「でも、奏介の仕事が順調だってことだもの。勝ったらちゃんとお祝いしたい」


変なジレンマの狭間で揺れながら、私は両手の指を交差させてボソッと呟いた。
それを聞いた奏介が、指先でネクタイを解きながら、ヒョイッと肩を竦めて小さく笑う。


「もちろん、可愛い奥さんからのお祝いは何度でも嬉しい。だから俺は全然構わないよ? 七瀬が今より二十キロくらい太っても」


奏介は小気味よい笑い声を漏らし、解いたネクタイをシュッと音を立てて首から抜いた。
再び私を見下ろしてくる切れ長の目が、探るように細められる。
今、奏介が頭の中で、でっぷり太った将来の私を想像しているのがわかって、私は慌てて首を横に振った。


「そ、奏介! ダメ! そんな私、想像しないで!」


彼から手渡されたネクタイも、上着と一緒に胸に抱きしめた。


「どうして? それはそれで、なかなか可愛いと思うんだが……」

「嫌だったら!」

「そう? だが、問題ない。俺はどんな君でも愛してるから」

「っ」


あまりにさらりと言われて、私は虚を衝かれて口ごもった。


「本当だよ」


黙り込んで頬を染める私の反応を確認するかのように、奏介が背を屈めて覗き込んでくる。
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