外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
そして、その事実よりもさらに深読みしたところで、私は不安に駆られる。


「そ、奏介!」


奏介の両手をガシッと掴み、その顔を覗き込んだ。


「だったら、奏介もなにか危険な目に遭ってるんじゃ!?」


彼は一瞬瞳を揺らし、私から焦点を外して、避けてしまう。
それでもぐぐっとにじり寄ると、奏介は目を伏せ、短く浅い息を吐いた。


「それは大丈夫だ。今のところ、俺にも実害はない」


そう言われても、歯切れ悪い口調だから、不安は消せない。


「守秘義務……はわかった。でも、本当に奏介は大丈夫なんだよね!?」


気が急いて声を上擦らせながら畳みかけると、奏介もしっかりと頷いてくれた。


「七瀬、申し訳ない。この件は、早速明日にでも詳しい調査をさせる。君にこれ以上の迷惑や危害を与えさせたりしない」


力強い声と言葉。
私は無条件でホッとして、表情を和らげた。


「うん。わかった」


そう言って、大きく首を縦に振ってみせた。


ところが――。
その翌々日。週末を迎える金曜日。
藤悟さんにお稽古してもらうために、仕事帰りに奏介の実家に向かっている途中、私はスマホを手に絶句した。


『七瀬、すまない。今日からしばらくの間、俺の実家に帰ってくれ。親父とお袋には、俺から連絡してある』


LINEメッセージには、そう記載されていた。
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