外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
奏介はそこで一度言葉を切ると、私にふっと視線を向けた。
その綺麗な切れ長の瞳に、言葉からは感じられない暗い光を見つけて、私はなにも言えずにその先を促した。
「その男が、上告審を前にして、代理人である俺を揺さぶってきたようだ。七瀬への『ストーカー行為』は、その一環と見て間違いない」
「揺さぶるって。奏介、『俺は大丈夫だ』って……!」
自分だって危険に晒されていたというのに、奏介は他人事みたいに淡々と説明する。
そんな奏介に驚き、焦燥感に駆られて口を挟んだ私に、彼は困ったようにわずかに眉尻を下げた。
「結審まで期間が長引くと、珍しいことではないんだ。最高裁での敗訴を恐れた原告側の関係者が、被告側代理人に『裁判から手を引け』と脅迫してくることは、今まで何度もあった」
「……!」
奏介がさらっと言いのけた『脅迫』という物騒な言葉に、私は反射的に怯んだ。
ドキドキと加速する鼓動が苦しくて、胸に当てた手を離すことができない。
「今回も、脅迫されてるの……?」
やっとの思いで訊ねた声は、自分でもわかるくらい震えていた。
それが伝わってしまったのか、奏介は私から目を逸らし、黙って一度だけ頷き返してきた。
その綺麗な切れ長の瞳に、言葉からは感じられない暗い光を見つけて、私はなにも言えずにその先を促した。
「その男が、上告審を前にして、代理人である俺を揺さぶってきたようだ。七瀬への『ストーカー行為』は、その一環と見て間違いない」
「揺さぶるって。奏介、『俺は大丈夫だ』って……!」
自分だって危険に晒されていたというのに、奏介は他人事みたいに淡々と説明する。
そんな奏介に驚き、焦燥感に駆られて口を挟んだ私に、彼は困ったようにわずかに眉尻を下げた。
「結審まで期間が長引くと、珍しいことではないんだ。最高裁での敗訴を恐れた原告側の関係者が、被告側代理人に『裁判から手を引け』と脅迫してくることは、今まで何度もあった」
「……!」
奏介がさらっと言いのけた『脅迫』という物騒な言葉に、私は反射的に怯んだ。
ドキドキと加速する鼓動が苦しくて、胸に当てた手を離すことができない。
「今回も、脅迫されてるの……?」
やっとの思いで訊ねた声は、自分でもわかるくらい震えていた。
それが伝わってしまったのか、奏介は私から目を逸らし、黙って一度だけ頷き返してきた。