外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
「……もう、奏介ったら」
私は、肩を竦めて奏介のスーツの袖をちょんと摘まんだ。
奏介はそこに視線を落とし、すぐにプイッと顔を背けてしまう。
彼がこんなに子供っぽくなるのは、ここが生まれ育った実家で、兄の藤悟さん相手だから。
わかっているから、そんな奏介も可愛いと思ってしまうのも本音。
だけど、今、私は藤悟さんにお稽古してもらっているところで、彼に不快な思いをさせてしまうわけにはいかない。
そっぽを向いた奏介を咎めようと、もう一度袖を引っ張った時、お茶室の隅っこから無機質な電子音が聞こえてきた。
三人揃って反応して、音の方向に顔を向ける。
そこに置かれていたのは、奏介の黒いカバン。
彼は「ちっ」と舌打ちをして、立ち上がった。
「……すまない。電源切るの、忘れてた」
常識的な謝罪をして、カバンからスマホを取り出し、わかりやすく顔を歪める。
「……仕事?」
奏介の表情の変化を上目遣いで見守り、コソッと訊ねると、
「ああ。……失礼」
彼は短くそう言って、スマホを片手にお茶室から出ていった。
襖が閉まるまで見送って、私は小さく息を吐いた。
「……ったく。相変わらずだな、奏介」
藤悟さんが困ったような苦笑を浮かべる。
私は、肩を竦めて奏介のスーツの袖をちょんと摘まんだ。
奏介はそこに視線を落とし、すぐにプイッと顔を背けてしまう。
彼がこんなに子供っぽくなるのは、ここが生まれ育った実家で、兄の藤悟さん相手だから。
わかっているから、そんな奏介も可愛いと思ってしまうのも本音。
だけど、今、私は藤悟さんにお稽古してもらっているところで、彼に不快な思いをさせてしまうわけにはいかない。
そっぽを向いた奏介を咎めようと、もう一度袖を引っ張った時、お茶室の隅っこから無機質な電子音が聞こえてきた。
三人揃って反応して、音の方向に顔を向ける。
そこに置かれていたのは、奏介の黒いカバン。
彼は「ちっ」と舌打ちをして、立ち上がった。
「……すまない。電源切るの、忘れてた」
常識的な謝罪をして、カバンからスマホを取り出し、わかりやすく顔を歪める。
「……仕事?」
奏介の表情の変化を上目遣いで見守り、コソッと訊ねると、
「ああ。……失礼」
彼は短くそう言って、スマホを片手にお茶室から出ていった。
襖が閉まるまで見送って、私は小さく息を吐いた。
「……ったく。相変わらずだな、奏介」
藤悟さんが困ったような苦笑を浮かべる。