外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
「あながち間違ってないな。やっと七瀬と二人でこの家で過ごせると思うだけでも、こんなに胸が弾んで気分が高揚する」

「……それは、私も」


今、やっと二人で過ごす家に戻って来れた喜びを素直に口にする奏介に、私も目を細めて微笑んだ。
奏介を上目遣いに見つめる。
彼もわずかに首を傾けて私を見下ろしている。


二人の間に、心を探り合うような沈黙が過ぎる。
やがて、どちらからともなく顔を寄せ、しっとりと唇を重ね合う。
触れ合う角度を変えて唇を開くと、すぐに舌が絡み合い、濃厚なキスに変わっていった。


「ふ、あ、ん……」


身も心も、頭の中まで蕩けてしまいそうになる。
束の間のうたた寝ですっきりしたとは言え、甘い媚薬のような奏介のキスがとても気持ちよくて、そこから生まれる痺れが脳内にまで浸透していく。


もっともっと、と自分からも強く求めそうになる。
だけど私は、必死に理性にしがみついた。


「も、もうダメ」


ごっくんと唾を飲み込みながら、奏介の胸に両手をついて身体を離す。
引きしまった胸から、彼の鼓動が直に手に伝わってきて、引き摺り込まれて同化していく、そんな感覚にも必死に抗った。
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