外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
その後――。
奏介が予想した通り、週明けになって、原告側は上告取り下げを発表した。


裁判所はそれを受け入れた。
同時に二審での被告側勝訴の判決が確定し、裁判は結審した。
法律の知識は皆無の私には、ちょっとモヤモヤする形の終止符だったけれど、奏介に言わせると珍しいことでもないそうだ。


『刑事裁判と違う企業審だからな。裁判の継続が困難になり、どちらかが折れる形で終わることは少なくない。これ以上続けるのは、労力と金の無駄だ。これが正しいんだよ』


奏介はサラッと淡々と言いのけたけれど、すぐにきゅっと唇を噛み、わずかに眉間を曇らせた。


『ただ……牧野が信じた正義は、うやむやになったな。彼自身の軽率な行動が招いた結果ではあるが、個人的に、残念だ』


その言葉には、私も黙って頷いた。


特許侵害訴訟……。
裁判でも立証された事実として、北国電子産業側には、管理体制の甘さがあった。
牧野は『親会社に奪われた』と言ったけれど、勝訴に結びつくような証拠は、提示できずに終わってしまった。
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