外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
彼から確信が伝播して、私の顔も無意識に綻んでいた。
けれど、すぐ隣の席に、スーツ姿の原告企業社員らしき男性がいる。
私は慌てて笑みを引っ込め、無駄に背筋を伸ばした。
やがて、裁判官が戻ってくる。
ざわついていた傍聴席も、しんと静まり返った。
奏介も原告代理人の弁護士も、一様に表情を引き締めるのがわかった。
「主文。原告の請求を棄却する」
裁判官が判決文の最初のくだりを読み上げた瞬間、法廷内の空気が真っ二つに分かれた。
一瞬傍聴席がざわめき、原告席に着く人たちが落胆した表情を浮かべる。
被告席の人だけが、目線を交わして握手する様子が見受けられた。
奏介が勝った。
私は思わず安堵の息をついてしまった。
裁判官が判決文を読み終え、控訴審は閉廷した。
傍聴人が、ぞろぞろと出口に向かっていく。
私は一番後で席を立ち、他の人の後ろから歩き出しながら、一度、そっと奏介を振り返った。
彼の顔からも、裁判中の厳しい表情は消えていた。
被告企業の担当者に向けるのは、どこか晴々した爽やかな笑顔。
それを見て、私の心も弾んだ。
今夜は、奏介も絶対に帰ってきてくれる。
今日は金曜日だし、二人っきりでゆっくり勝訴のお祝いをしよう。
頭の中で、彼の好きな食べ物をいくつも思い浮かべる私の足取りは、自分でもおかしくなるくらい軽やかだった。
けれど、すぐ隣の席に、スーツ姿の原告企業社員らしき男性がいる。
私は慌てて笑みを引っ込め、無駄に背筋を伸ばした。
やがて、裁判官が戻ってくる。
ざわついていた傍聴席も、しんと静まり返った。
奏介も原告代理人の弁護士も、一様に表情を引き締めるのがわかった。
「主文。原告の請求を棄却する」
裁判官が判決文の最初のくだりを読み上げた瞬間、法廷内の空気が真っ二つに分かれた。
一瞬傍聴席がざわめき、原告席に着く人たちが落胆した表情を浮かべる。
被告席の人だけが、目線を交わして握手する様子が見受けられた。
奏介が勝った。
私は思わず安堵の息をついてしまった。
裁判官が判決文を読み終え、控訴審は閉廷した。
傍聴人が、ぞろぞろと出口に向かっていく。
私は一番後で席を立ち、他の人の後ろから歩き出しながら、一度、そっと奏介を振り返った。
彼の顔からも、裁判中の厳しい表情は消えていた。
被告企業の担当者に向けるのは、どこか晴々した爽やかな笑顔。
それを見て、私の心も弾んだ。
今夜は、奏介も絶対に帰ってきてくれる。
今日は金曜日だし、二人っきりでゆっくり勝訴のお祝いをしよう。
頭の中で、彼の好きな食べ物をいくつも思い浮かべる私の足取りは、自分でもおかしくなるくらい軽やかだった。