外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
その夜。
一人で夕食を終えて、使った食器を片付けた。
炊飯器には一人分のご飯が残っている。
少し冷ましてからラップに包み、明日の夕食で使おうと考えて、私はふと口元に手を当てて逡巡した。
キッチンカウンターからリビングにひょいっと顔を出し、壁の時計で時間を確認する。


現在、午後八時。
奏介は『ちょっと遅くなるが、今夜はちゃんと帰れるから』と言っていた。
昼間の様子を思い出すと、帰宅が遅くなる理由はもちろん仕事だ。
それなら、遅くなっても食べられる、簡単な食事を準備しておいた方がいいかもしれない。


炊飯器のご飯はこのまま保温しておこう。
奏介が帰ってくる時間によって、おにぎりにしてもいいし、お茶漬けで出すのもいいかもしれない。
でも、それだけじゃ寂しい。
なにかもう少し用意できるもの……と、冷蔵庫の前で考えていた時、リビングからインターホンが鳴る音が聞こえた。


再びリビングに顔を覗かせて、壁に設置してあるテレビモニターに目を遣る。
一階のエントランスからのインターホンだ。
こんな時間に誰だろう?


私は冷蔵庫のドアを閉め、小走りでリビングに入った。
テレビモニターを覗き込み、「えっ」と声を漏らしてから、慌てて応答する。
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