外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
とにかく早く、愛情をたっぷり込めた自信作を見てほしい。


「え? お祝い?」


奏介がきょとんと目を丸くするのも構わず、私は彼の腕をぐいと引いた。
気分は、百点のテスト用紙を持って母親に纏わりつき、『見て見て!』とはしゃぐ小学生のようなものだった。
靴を脱いで玄関口に上がった奏介が、わずかにバランスを崩す。


「あ、ちょっ……七瀬!」


帰宅してすぐの奏介は、私のハイテンションについて来れないよう。
私に手を引かれ、足を縺れさせながら、バタバタとキッチンに入った。
そして。


「……お」


ダイニングテーブルの上に並んだ料理を見て、パチパチと目を瞬かせる。


「すごいな……」


切れ長の目を大きく見開き、奏介が驚いた様子で顎を摩る。
そして、私より頭一つ分高い位置から、しげしげと見下ろしてきた。


「大変だっただろ? こんなに」


そう言いながら、テーブルに近付いていく。
テーブルの端から改めて全体を見渡してから、私を振り返った。
そこに浮かんだ感心したような表情に満足して、私は『どう?』とばかりに小首を傾げてみせる。


「どれも奏介の好物で間違ってないでしょ?」

「ああ」
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