外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
『君は大丈夫か?』
「え?」
『俺も控訴審さえ終われば、君とゆっくり過ごせると思っていた。しかしまた一ヵ月延期……。結婚してすぐなのに、申し訳ない』
「……ん。平気。お仕事だもの。仕方ない」
スン、と小さく鼻を鳴らして、私は彼にそう答えた。
電話の向こうで、奏介が黙り込む。
『……七瀬。なにかあったら、些細なことでも俺に連絡してくれ。この時間なら、執務室に一人だから、俺からも電話できる』
躊躇いがちに重ねられた言葉には、そっと目線を上げた。
無意識に振り返ると、キッチンのカウンターの上に置いてある、奏介の分の夕食のお皿が見えた。
「些細なことって。どんな?」
ちょっと掠れた声で訊ね返すと、奏介は再びなにか逡巡したようだ。
『ちょっとした変化でも。俺を詰る言葉でもいい』
「そんなこと」
『……少しでも、七瀬の声が聞きたい。君とこうして繋がっていられるなら、それが非難の言葉でも粛々と受け止めるから』
どこまでも真摯な言葉を紡ぐ奏介の低い声が、私の胸にじんわりと広がっていく。
胸が熱くなり、鼻の奥の方がツンとする。
私は無言で鼻を啜った。
そして、一度「はあ」と息を吐いてから、気を取り直してしっかりと顔を上げる。
「え?」
『俺も控訴審さえ終われば、君とゆっくり過ごせると思っていた。しかしまた一ヵ月延期……。結婚してすぐなのに、申し訳ない』
「……ん。平気。お仕事だもの。仕方ない」
スン、と小さく鼻を鳴らして、私は彼にそう答えた。
電話の向こうで、奏介が黙り込む。
『……七瀬。なにかあったら、些細なことでも俺に連絡してくれ。この時間なら、執務室に一人だから、俺からも電話できる』
躊躇いがちに重ねられた言葉には、そっと目線を上げた。
無意識に振り返ると、キッチンのカウンターの上に置いてある、奏介の分の夕食のお皿が見えた。
「些細なことって。どんな?」
ちょっと掠れた声で訊ね返すと、奏介は再びなにか逡巡したようだ。
『ちょっとした変化でも。俺を詰る言葉でもいい』
「そんなこと」
『……少しでも、七瀬の声が聞きたい。君とこうして繋がっていられるなら、それが非難の言葉でも粛々と受け止めるから』
どこまでも真摯な言葉を紡ぐ奏介の低い声が、私の胸にじんわりと広がっていく。
胸が熱くなり、鼻の奥の方がツンとする。
私は無言で鼻を啜った。
そして、一度「はあ」と息を吐いてから、気を取り直してしっかりと顔を上げる。