外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
私は奏介から上着を預かりながら、声を張ってそう続けた。


「え? あれ。なんだ、ニュースにでもなってたか?」

「今日、傍聴しに行ったの。奏介の裁判!」


本当に不思議そうな奏介に焦れた気分で、私は彼の上着を抱きしめて畳みかける。


「えっ!? ああ、そうだったのか……」

「もう~! 私が言うお祝いって、なんのことだと思ってたの?」

「結婚して初めての、二人きりの晩餐……?」


奏介は軽く顎を引いて私を見下ろしながら、真顔でそう答えた。


「確かにそれもそうだけど……」


『裁判お疲れ様』ってお出迎えしたのに。
自分の仕事の成功に無頓着な奏介に、私は思わずがっくりしてしまう。
溜め息を漏らす私に、奏介は肩を揺らしてくっくっと笑った。


「七瀬、お祝いありがとう。……だが、毎回この調子でお祝いしてたら、俺も七瀬も数年後には完全にメタボだぞ」

「え?」

「俺は弁護士。勝つのが仕事だ」


涼しげなのに強気な瞳で言われて、私の胸はドキンと音を立てて弾んでしまう。


「それは……確かに、奏介が負けるなんて思いたくないけど」


旦那様相手に、真剣にときめいてしまった。
私は落ち着かない気分で、奏介から目を逸らす。
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