外ではクールな弁護士も家では新妻といちゃいちゃしたい
「それ、薄茶なんだけど。濃茶よりも少し苦味のある抹茶を使うんだよね。でも、濃茶はその三、四倍の濃さになるから、多分もっと苦く感じると思うよ」

「そ、そうなんですね」


私はぎこちない笑みを浮かべ、両手で持った茶器に目を落とした。
そして、無意識にゴクッと喉を鳴らしてしまう。
次の一口を躊躇っているように見えたのかもしれない。
藤悟さんが口元をちょっと意地悪に歪めた。


「濃茶出したら、どんな感想が返ってくるんだろう。飲み下せるかな。それとも、『まずっ』かな」

「すみません! その時にはちゃんと心して!」


そう宣言して、私はもう一度茶器を口元に運んだ。
そして、意を決して二口目を味わう。


ワインみたいに、口の中で舌で転がすように味わうものでもないんだろう。
それでも、喉に流すのに結構勇気がいって、ごっくんと飲み下した。


その瞬間、顔が、微妙に歪んでしまったのは自覚していた。
一部始終を見ていた藤悟さんに至っては、声を殺し、肩を震わせて笑っている。


「くっくっくっ……」

「と、藤悟さん!」

「ごめんごめん。いやあ、予想はしてたけど、七瀬さんの反応はその斜め上だったなあ。なかなかツボに入る」

「わ、笑いすぎです」


遠慮なく笑われて、さすがに居た堪れない思いで肩を縮める。
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