妖精の涙
プロローグ
「おばあちゃんっ!」
縁側に座り、穏やかな日の光を浴びていたおばあちゃんの背中に飛びついたのは、孫の咲穂(さほ)。
ゴールデンウィーク中のため、おばあちゃん家に遊びに来たのだ。
「よく来たね、咲穂。学校には慣れたかい?」
咲穂は四月に中学生になったのだ。
「うん! 毎日楽しいよ!」
咲穂はおばあちゃんから離れ、隣に座った。
「そうかい、楽しいかい」
おばあちゃんは優しく微笑みかけた。
そして会話は途切れ、青葉が揺れる音が心地よく耳を撫でた。
「ねえ、おばあちゃん! 遊びに行こー?」
その沈黙に耐えきれなくなった咲穂は、おばあちゃんの肩を揺らす。
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