妖精の涙
「深雨……大丈夫?」
「明……ごめん……ごめんなさい……」
深雨は何も説明せず、ただただ謝るだけだった。
そんな深雨を見た明は、深雨を優しく抱きしめた。
「深雨……深雨がそうやって謝るのには、理由があるんだよね……?」
明の質問に、深雨はゆっくりと頷いた。
明は深雨から離れ、まっすぐに深雨の目を見つめた。
「私、無理には聞かない。深雨が言えるようになるまで、ずっと待ってる。ずっとそばにいる。私は、何があっても深雨の味方だよ」
すると次第に深雨の視界は歪み、涙が頬を撫でた。
村に久しぶりに降った雨が、少し強くなりながら、二人を打ち続けていた。
そのとき、雨が止む気配は一切なかった。