妖精の涙
翌日。
村に晴天が戻った。
深雨は元気な笑顔で登校した。
「おはよう、明。昨日はありがとう」
「ううん、当たり前のことしただけだよ。それで、話せるようになったらいつでも言ってね?」
このときの明の笑顔は、普段の明からは想像できないくらい、落ち着いた、優しい笑顔だった。
それは桜を思い出させるようなものだった。
「うん」
それから数日、また雨が降らなくなった。
深雨がいなくなると雨が降ると考えた村人たちは、深雨を村から追い出す計画を立て始めた。
明たちはそんな計画が立てられていることなど、知る由もなかった。