妖精の涙
壱
雨が降らなかったら、畑の作物は育たない。
そんな日々が続いていたからか、村の雰囲気は穏やかじゃなかった。
それに耐えられなくなり、出ていく村人もいた。
そんなある日のこと。
十歳程度の少女が一人、村の入り口に立っていた。
服装はお世辞にも綺麗だとは言えなかった。
白いワンピースを着ているせいで、汚れが余計に目立つ。
「この村に何か用か?」
少女に気付いた村人が、睨むように言った。
少女はたじろぎ、俯いた。